VoiceOfUTokyo 東大の声

民主左翼同盟(DLUT)中央執行委員会が発行する革命的・進歩的学生の機関誌

VOUT 東大の声 12月25日号(第1号)

緊急・東大雇い止め撤回

 東京大学職員組合(略称東職、Webサイト:https://tousyoku.org)は、19日月曜、厚労省記者会において会見を実施し、東大本部が有期契約教職員の雇用期間の上限を5年間とする就業規則における規定(いわゆる東大ルール)の撤廃を決定したことを発表した。これにより、東京大学に現在存在する約8000人の非正規教職員の解雇(雇い止め)が回避されたこととなる。

 そもそも、東大ルールは、国立大学法人化の2004年に制定された。また、5年以上勤務した職員が再度雇用されるまでの間に3ヶ月を設ける(クーリング期間という)というルールも全学的に運用されていた。しかし、2013年に、労働契約法が改正されたことにより、5年以上勤務した有期契約労働者は、希望する場合無期雇用に転換しなければならないことが定められた。尚、この法律においては、前の契約期間終了から」6ヶ月以上経過している場合は無期転換の5年に参入しないものとされている。ところが、東大本部は、2012年11月に、クーリング期間を3ヶ月から6ヶ月にすることとした。これは、有期職員として5年勤務したら、解雇され、6ヶ月以上先まで有期職員となることがなく、さらに無期転換ができないということを意味する。この東大本部の決定は、労働契約法の趣旨に反するものであり、これは、有期職員の人権を侵害するものである。

 このような事態を受け、東職は団体交渉を繰り返し実施した。2017年11月までに、本部側はクーリングの撤回を東職に回答。そして、12月12日、東大の科所長会議(学内部局長の会議。議事録等は学内向けにのみ公表されており、学外から確認できないことからリンクは貼らない)において、全学一律の雇用期間上限廃止を発表した。

 一方で東職は、年度内に契約期限となる職員が課題であると指摘している。無期転換は、5年間の契約を終えて、次の契約が開始してから行うものとされている。

参考

東職Webサイト 記者会見について

【終了】12/19(火)13:00~記者会見(厚生労働省記者会にて)を行います | 東京大学教職員組合

東大 就業規則

http://www.u-tokyo.ac.jp/gen01/reiki_int/reiki_syuki/syuki01.pdf

厚労省 労働契約法改正の解説

労働契約法の改正について〜有期労働契約の新しいルールができました〜 |厚生労働省

労働契約法 改正点(抜粋)

http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/keiyaku/kaisei/dl/pamphlet08.pdf

 

緊急・京大自治寮、吉田寮への京大当局の攻撃

  19日、京大当局は、「吉田寮生の安全確保のための基本方針」を策定したと発表した。その内容は、以下のようなものである。

「(1)(新たな入寮の禁止)平成30年1月以降は、誰も吉田寮に入寮することはできません。つまり、これまで吉田寮自治会に入寮募集の停止を要請してきたこととは異なり、大学として吉田寮への新規の入寮を一定期間認めないということです。

(2)(在寮者の退舎)平成30年9月末日までに、現在吉田寮(現棟と新棟の両方)に居住している者は退舎しなければなりません。つまり、本学としてはこの期日をこえて本学の学生諸君が危険な建物に居住し続けることを認めることはできません。
 なお、現行の建築基準法等に合致している新棟に居住している学生諸君も一旦退舎しなければならないこととしたのは、現状では、新棟と現棟のいずれの建物に誰が居住しているのかを残念ながら大学が把握できる状態にはないためです。

(3)(代替宿舎の提供)平成30年4月時点で本学正規学生の学籍を有する吉田寮生諸君については、平成30年4月以降に、吉田寮を退舎する学生諸君で希望する者に大学が民間のアパート等の代替宿舎を用意します。その代替宿舎の寄宿料は現在と同じ400円としますが、光熱水費等は使用者である個々の学生諸君の負担となります。」(「吉田寮生の安全確保についての基本方針」の策定・実施について — 京都大学より抜粋)

 これに対し、吉田寮自治会(Webサイト:https://sites.google.com/site/yoshidadormitory/)は20日火曜日に抗議声明を発表した。抗議声明においては、

「1.「基本方針」の策定は一方的であり、当事者との合意形成を無視している。
2.吉田寮自治会の入退寮者決定権を侵害している。
3.「基本方針」には多数の事実誤認が散見される。特に寮自治会と大学当局がこれまで現棟の補修について議論を積み重ねてきたことを無視している。」(同サイトより抜粋)

の3点を挙げている。すなわち、基本方針の制定は、吉田寮自治会と京大当局による団体交渉という、寮自治会と当局の間の確約を無視し、一方的に決められていること、自治寮であれば有するはずの入寮選考権を侵害していること、建物の補修による対応を過去に合意しているにも関わらずそれを無視していることが挙げられる。

 この事態には、吉田寮祭実行委員会(Twitter:@yoshidaryosai)も抗議の姿勢を表明している。

 今回、東大学内メディアとして、特筆すべきは、駒場寮廃寮時との関連性だろう。駒場寮は、東大当局側が、一方的に新規入寮を停止し、寮自治会がこれを認めず、入寮生募集を継続するも、東大当局は「廃寮」宣告や、電力停止、警備員(帝国警備保障(現テイケイ)のガードマン。学生に対する暴力的な対応が当時問題となった)導入により学生排除、解体工事を強行し、1997年には学生側を「違法に占拠している」として訴え、2000年に立ち退きを命じる判決が出される。2001年、警備員、教職員によって強制執行が行われた。この駒場寮廃寮は、三鷹国際学生宿舎への寮機能移転を含むものであったが、予算の不足により、駒場寮の収容機能は一部しか移転できていない。また、駒場国際学生宿舎計画もかつて存在していたが、そちらは予算不足により頓挫し、現在は、駒場コモンズ計画という、体育設備に関する計画のみが進行中である。

 現在京大当局が強権的姿勢を強め、学生弾圧を強化していることを考えると、吉田寮情勢は、駒場寮の際よりも困難であるかもしれない。過去に駒場寮を学生の意見を無視し潰された東大生としては、吉田寮問題は他人事ではないだろう。また、京大生にとっても、自治寮という財産が危機に晒されていることについて、行動を起こしていく必要があるだろう。当局の述べている、「現在の新棟は、本『基本方針』の実施完了後に本学の学生寄宿舎として提供を再開します。」をそのまま鵜呑みにするのは危険である。また、東大において、駒場寮消失後は、寮という学生自治基盤が消失したり、多くの寮生活者(その後の三鷹寮生活者も含め)が様々な困難にさらされているように、吉田寮を失えば、京都大学における学生自治自体が危うくなるだろう。

参考

京大当局 吉田寮生の安全確保についての基本方針

吉田寮生の安全確保についての基本方針 — 京都大学

同 「吉田寮生の安全確保についての基本方針」の策定・実施について

「吉田寮生の安全確保についての基本方針」の策定・実施について — 京都大学

吉田寮自治会

吉田寮公式サイト

 

シリーズ・商品化される東大生 その1

東大生のメディア資本による商品化

 現在、東大生のメディア露出が増えてきている。フジテレビ系の「さんまの東大方程式」、TBS系の「東大王」などである。このような番組は、シリーズ的に繰り返し製作されてきた。

 これらへの学内外からの評価は賛否両論で様々存在する。一部の出演者は、キャラクター的存在とされたり、また、一部はネットで叩かれたりと言った状況である。

 とりわけ、学生の中にもこれらの番組に出演して、メディア露出することに興味を持つ人や、このような番組において東大生をネタにしていることについて不満である者など様々存在する。

 メディア露出やメディアとの接触によりどのような影響があるのか。本紙は、メディアからのアクションのあった東大生のTwitterをもとに調査を行なった。現時点で以下のことが述べられているようだ。

・メディア露出により数万円程度の謝礼があると考えられる

・事前の打ち合わせにより、演出が決定されるものと推測される

・東大の学園祭(五月祭、駒場祭)でスカウトが行われることが多いが、平日に周辺の路上でスカウトが行われることもある

・東大生の中には、メディアの取材クルーに不満を持つものも多い

・メディア露出を繰り返している人は、Twitterでフォロワーが増えたり、ツイートするごとまたは逐次リプなどを受け取ることが多くなる

といった物である。メディア露出は、メディア業界や、学外者との接近をもたらすといえよう。

 メディア業界が、繰り返し、このような番組制作を行うということは、当たり前のことだが、すなわち、東大生を「商品」(=商業活動における収入源)にしようという意図である。よって、東大生は、新たな形での商品化を経験するようになったといえよう。

メディア資本の企業倫理

 メディアは、東大生を商品(=交換価値)とするわけだが、そこでの価値生産は、出演する東大生の生活と切り離されない。すなわち、東大生の生活をネタにすることも、東大生番組という商業活動の一環に含まれているのである。

 さて、テレビ番組のために東大生の生活をネタにするということは、当然、出るか出まいかに関わらず東大生の生活にも影響が及ぶということである。ここで、番組制作企業が、果たして利潤追求のために東大生の生活への影響を度外視で番組制作を行わないのか、ということが一つの争点になるだろう。ここで、2017年秋に放送されたとある東大生を取り扱ったテレビ番組(ここでは出演者への配慮のため********* ***とする)を参考にしたい。当該番組においては、ある東大生が、自らの性質を理由に、出演者らに人格否定的なコメントを向けられ、しかも人格否定的な発言を諌めるコメントにはテロップを出さないということが行われた。これは、制作会社による人権侵害であり、断じて容認できないものである。加えて、当該番組はいわゆるゴールデンタイムに放送されており、多くの市民が視聴されることが予想される時間である。すなわち、これは、メディア資本によるマイノリティ攻撃である。当該番組は、視聴率が低かったがために炎上しなかったが、近い事例であると言える9月28日(木)のとんねるずの「保毛尾田保毛男」の炎上に見られるとおり、マイノリティへの人格否定的な番組制作は炎上しておかしくないものであり、かつ、当該炎上の際、フジテレビは謝罪文を公表している。このことからもわかる通り、********* ***とて、番組制作を行う業界の基準に照らしても、市民的基準に照らしても問題のあるものとなっている。事実、********* ***の放送後、番組制作姿勢への批判がTwitter上で散見された。すなわち、********* ***の放送姿勢は、企業倫理を書いたものである。

 このことから、メディア資本は、企業の利潤のためなら、東大生の人格を否定したり、あるいは炎上に巻き込み人生を狂わせたりすることも厭わないということが懸念されるだろう。

人権の危機

 メディア資本は、さらには、東大の学園祭においても学生の企画運営という正当な活動に悪影響を与えている。すなわち、巨大な機材を持ち歩き、模擬店を占拠し、場合によっては企画の活動が制限されかねない。実際、駒場祭および五月祭の際のツイート等からもそれらが確認できる。

 学生として企画を見るなどしている学生も、突如呼び止められ、取材を受けることがあるが、駒場祭および五月祭において、

・取材スタッフが威圧的態度を取ってきた

・取材スタッフが明らかに無礼な態度をとってきた

・取材スタッフにセクハラ的な発言を受けた

等の被害情報がTwitterから確認できた。

 このような、メディアによる、東大生の人格、人権を無視した態度は、2017年11月24日から26日にかけて行われた第68回駒場祭における、「じょそコンカフェ」において、フジテレビの「めざましテレビ」の取材の中で、企画参加者に対し侮辱的な態度が取られたとして問題になった事件にも表れている。

 以上述べてきたように、テレビ局による「東大生番組」という商業活動は、次第に反動性、あるいは悪質性を増している。メディア出演する東大生はもちろん、東大生全般、そして、視聴者の人権が、人間として尊重される権利が、今危機にさらされているといえよう。

 党は、東大学内における懸念事項の一つと捉えており、そのため、本紙は、今後も継続的にこの話題を取り上げてゆく。

お知らせ・党規約仮制定について

 党規約について、年内に仮に制定する。本制定は、党勢拡大と、党大会を待つこととなるが、この規約の仮制定を以って、党は活動やオルグを本格的に開始することとなる。現段階では、本紙は不定期刊行であるが、12月末までに第2号を発刊する。